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歩は自分でも驚くほどはっきりと冷たい声で答えた。
「できません。」
頭を下げたままの淳の掌が握り絞められる。
そして、絞り出すように頼む。
「・・・お願いします。
僕はこれ以上、大事にしたくない・・・」
キュッと唇を噛み、歩は震える拳を机に押し付ける。
「大事にしたくないってなんですかっ？！
もう、オオゴト、そうでしょ？
あの、貴子が家を出たんですよっ？！！
・・・・・・貴方はそんなことも分からないの？！」
顔を上げた淳は苦し気に目を閉じ、深く溜息を吐いた。
「・・・・・・十分、分っているつもりです。
でも、アレは本当にあいつの・・・」
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