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三月の晴れた午後は暖かく、少し冷たい風が心地よくすらあった。
ありふれた真新しい公園にたどり着くと、幼い子供たちの声が耳に届く。
人工芝生の間に造られたアスファルトの道を奥に進んだ。
砂場と滑り台などの遊具が並ぶ場所を通りすぎると、こぢんまりした人工の池がある。
池の傍のベンチに座ると、僕は制服のポケットから煙草を取りだし、手をかざしてライターで火をつけ、思いっきり息を吸いこんだ。
躰にいいはずのない煙草は、それでも僕をいくらかほっとさせる効能を持っている。
ここに来たのはいいが、いまの気分にはおよそそぐわない、小さなアスレチックや砂場で戯れている親子が目に入った。
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