前編

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「……」  一瞬時が止まった気がした。黒髭が動かなかった。そう、一瞬だけ……無情にも黒髭人形は宙に舞った。 「……」 「……」  二人に沈黙が流れる。とても重い空気。小学生の僕にはこの重圧はとても重すぎて、押し潰されそうだった。とても苦しい。恐らく彼女はこの後黙ってここを出て行き、旧校舎で、元の行動を実行しようとするだろう。止めたいが、自分でこの話を持ちかけた手前、止める事が出来ない。どうすれば…… 「ッ、アハハハハ!」  真剣に考えていたときだった。彼女が突然大声で笑い始めた。僕はその姿に驚いた。 「ど、どうしたの?」  驚いた僕は目を丸くして彼女に聞いた。 「だって……だって、あれだけ偉そうに言って自分でハズレを引いちゃうんだもん。おかしくて、死ぬ気が無くなっちゃったよ……」  目に涙浮かべながらお腹を抱えて笑う彼女。驚いていた僕もつられて笑い出した。      それから何年もの時が流れて僕は大人になって結婚もした。あれからたくさんの出来事があったけど、あの時の事を今でも昨日の事のように思い出せる。僕は小学校を卒業と同時に遠くに親の都合で引っ越した。僕はその後彼女がどう思い続け、今の僕の事をどう思っているのかはわからない。だけど…… 「あなた……」  僕を呼ぶ妻のやさしい声。そう。今の僕の妻が彼女なのだ。あの日僕が彼女を止めたのも、あれから引っ越してまた彼女と再会したのも……運名の赤い糸が二人を引き寄せたのかもしれない。       (あとがきと補足)  この作品は私の所属する部活のWeb掲載用小説として提出した作品です。  というわけでネェ。書いてみましたが……実は間の話消してます。理由はコピペがめんどかったから、  機会があったら載せようかと……  以上ッス🐱(逃)
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