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03
薄暗く静かな世界に小さく唸るような機械音が響いている。今シュミレーター内部にいる人間はイオリだけだ。
イオリは小さく息をつくと口を開いた。
「ブートアップシーケンス、スタート」
シュミレーターに搭載されているAIはその音声を認識し、ピピッという機械音で答えると唸り声を大きくして起動を開始する。
イオリはというと、手動で行わなければいけない操作を手順通りひとつずつ正確に行っていく。
ピピピピッ、と周囲からたくさんの機械音が聞こえた。するとイオリの四方を囲むモニターに様々な文字が表示されていく。
そして薄暗かった世界は一気に明度と彩度を得た。モニターには外界の様子が映し出される。
するとモニターの一部にALLという文字が表示され、ウィンドウがポップアップしてきた。
そのウィンドウの中にはマーガレットの顔が映っている。
『キノさん、聞こえますか?』
イオリは自分の目で周囲を見回した。
モニターにはシュミレーターが映し出す擬似的な荒野のフィールドが本物のように映っている。他に異常もなさそうだ。
最終確認を終えたイオリはマーガレットの通信に応じた。
「音声映像ともに問題ない。シュミレーターは正常に作動している」
『わかりました。では訓練をはじめます。訓練内容はルークさんの時と同様です。敵小型ガリオンがランダムに出現しますのですべての個体を殲滅してください』
「イオリ・キノ、了解した」
『では訓練開始』
マーガレットがそういうと通信が切れ、訓練シュミレーションがはじまった。
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