03

5/10
前へ
/38ページ
次へ
「ちッ!」  イオリは舌打ちをしながら各スラスターを吹かして後方へと飛び、トリロバイト型との距離を離す。  その動きを察知したトリロバイト型もまた機動を変え、追尾型ミサイルのように執拗にタロス改を狙う。  膝をついて後方へと着地したイオリのタロス改は、膝撃ちの射撃姿勢を取ってアサルトライフルを構えた。  イオリの見ているモニター内で敵ガリオンを捉えていた緑の枠が赤枠へと変わる。  アイサイトがロックオンしたことを告げたその表示を見て、イオリは射撃スイッチを強く押し込んだ。  目が眩むほどの青白いマズルフラッシュと激しい銃撃音が同時に起こる。  そしてタロス改のCEアサルトライフルFから発射されたありったけの銃弾は、目にも止まらぬ早さでトリロバイト型に襲いかかるとその身体を次々と穿つ。  集中砲火を受けて穴だらけになったトリロバイト型は糸が切れた人形のように制御を失ってあらぬ方向へ落ちていった。 「……やったか?」  イオリはそうつぶやきながら撃ち尽くしてしまったアサルトライフルの弾倉を交換し、敵が完全に沈黙したのか慎重に確認する。 『反重力エネルギー反応多数、この動きは――おそらくエイ型でしょう』  シュミレーター内に警告音が流れたのとほぼ同時にそんなマーガレットの通信が入ってきた。  その通信を聞いてイオリは表情を険しくする。 「エイ型か……」 『いけますか?』 「やってみるさ」  イオリはそう答えると操縦桿を握り直す。  エイ型と呼ばれるガリオンは、その名の通り平らな身体をして鞭のような尾を持った魚類に酷似した姿を持つガリオンで、その飛行スピードは確認されているガリオンの中でもっとも速い個体だった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加