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「やらせるかァッ!」  イオリはアサルトライフルを投げ捨て各スラスターを全開にした。タロス改のスラスターノズルから大きな炎が伸びて空を飛ぶはずのない鋼の巨体が宙を舞う。  その行動は完全にエイ型たちにも予想外であり、放ったビームはタロス改がさきほどまでいた場所を舐める。  そして空へと飛び上がっていたタロス改はVダガ―と呼ばれる高周波振動ブレードの一種である近接戦闘用兵器を格納場所より引き抜いた。 「おおおおおッ!」  イオリが叫ぶ。  その声に呼応するようにタロス改はVダガーを大きく振りかぶり、空を飛んでいたエイ型の背中に向かってその刃を突き立てた。  突然背中に降りかかってきたタロス改とVダガ―の攻撃にエイ型は堪らず体勢を崩して地上へと落下する。  そしてエイ型とタロス改は勢いよく地面へと激突した。 「ハハっ、こりゃ無茶苦茶だな」  別室でその様子を見ていたルークが苦笑いを浮かべて思わずそういった。  その言葉をムッとした顔で聞いていたマーガレットはイオリに向かっていう。 「キノさん、もうこれ以上の無茶はやめてください!」  だがシュミレーター内のイオリにその言葉は届かない。  ビープ音が鳴り響かせ、関節部の故障個所を伝える表示をしているモニターやエネルギー残量が少なくなっていることを伝える音声をもイオリは無視する。 「立て、タロス改。敵はまだ残っているぞ!」  もうもうと立ちこめる砂煙の中、イオリはタロス改にそう命じた。  主人の命令に忠実な鋼の巨人は各所から不協和音を響かせながらも、Vダガ―を手になんとか立ちあがる。
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