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 しかしそんなタロス改に無常にもビームの嵐が襲いかかる。 「――ッ!?」  シュミレーター内に衝撃が生じた。  各部が限界を迎えまともに動く事のできなくなったタロス改はエイ型たちの格好の的となる。  やられるがままにビームを受け、タロス改は崩れ落ちた。  そしてイオリの見ていたモニターが閃光に包まれる。その眩しさにイオリは思わず目をつぶった。  次の瞬間、激しい衝撃と共にシュミレーター内の警告音が一層大きなものになってモニターがブラックアウト。  そして機体が破壊された事を告げる音声が流れ、シュミレーター内は赤い光に包まれた。  ――シュミレーションは終わった。  イオリは大きなため息をついて握っていた操縦桿から手を離す。  やられはしたが自分なりに最善を尽くした。  そう思いながらイオリはシートの背もたれにその身を預ける。 「……はぁ」  と、イオリが再びため息をついた。それは不満からでたものではなかった。このシュミレーターを出た後のことを考えて不意にでたものだった。 「いつまでもここにいるわけにはもいかないか」  イオリは自分に言い聞かせるようにそういうと、各機器を操作してシュミレーターを終了させる。  赤い光もなくなり、シュミレーターが「おつかれさまでした」と機械的な女性の声でイオリを労う。  そしてシュミレーターのハッチが徐々に上へと開いていく。その最中、スカートから伸びる綺麗なおみ足が見えた。  誰のモノなのかイオリには簡単に想像できたので、嬉しい気持ちよりも憂鬱な気持ちになる。 「キノさん」  ハッチが開ききると同時にイオリを呼ぶ声が聞こえてきた。その声にはどこかトゲがある。  イオリが視線をあげると、そこには予想通りマーガレットが立っていた。しかも仁王立ちで表情は硬い。  イオリはすぐに視線を逸らし、何事もなかったかのようにシュミレーターから降りた。
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