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04
午前中のスケジュールも終わり昼休憩となった。
イオリは食堂でいつものランチセットを食べ終えると、その足でディーンドライブたちが立ち並ぶ格納庫へと向かう。
そしていくつかある格納庫の中で04小隊が運用しているディーンドライブたちがある第2格納庫の中へ入っていく。
格納庫の中に足を踏み入れると、機械油の匂いなどが混ざった独特な空気に体が包み込まれる。
「イオリじゃないか」
誰かの声が聞こえた。
その声が聞こえてきた方へとイオリが視線を向けると、機体整備用の可動式タラップに乗っているひとりの男の姿が見えた。
「ヤンか」
イオリは見慣れたその男の名前を呼ぶ。
ヤンと呼ばれた男はタラップを下げながら口を開いた。
「こんな所に来るなんてどうしたんだい? いまは昼休憩だろ?」
「それはヤンも同じだろ?」
「そうだけど気になってね」
「……休憩中にやることもないからな。それにどうせ午後からは哨戒任務だ。少し早いがここで待機させてくれ」
「なるほどね。じゃあ好きにしなよ。僕も同じようなもんだしさ。休憩してるよりディーンドライブをいじっている方がいいんだ」
ヤンはそういって年の割には子供っぽい笑顔を見せる。
彼はヤン・チャイトン。04小隊の機体整備を引き受ける整備班のひとりだ。
年はイオリよりも少し上だが、サイクスの中でも珍しく気が合う間柄で砕けた会話をする相手だった。
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