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「そうそう、あともうひとつ噂があったんだ。なんでもまた国から誰かが派遣されてくるらしいよ」
「またか」
イオリはサイクスのディーンドライブ大隊の司令官を思い浮かべる。彼もまた国より派遣されてきた人物だった。
空が割れた日以降、軍やそれに近い関係者がガリオンと戦うサイクスへと派遣されてくることは珍しいことではなかった。
「そうなんだよ。これは僕の予想なんだけど、きっとその派遣されてくる奴が新型のパイロットとかじゃないかな?」
ヤンがしたり顔でそういう。
イオリは顎に手を当ててつぶやく。
「なるほど。ありそうな話だ」
「そうだよね。うちみたいな一企業じゃあお上にはなかなか逆らえないもんね」
「……そうなると正規軍主導でその新型を中心とした新しい部隊も創設されるかもしれないな」
「それもあるかもね。そうなったらぜひその部隊の整備を担当したいなぁー」
ヤンは目をキラキラと輝かせながらそういった。
イオリはそんなヤンを見て口元に笑みを浮かべる。
「異動願いを忘れるなよ」
「なんだよイオリ。”ヤンがいなくなったら寂しいな”とかそういう言葉はないわけ?」
「残念だがない」
「うわーっ、ひどいな」
ヤンは口ではそういいながらも笑顔を浮かべる。
その後ふたりは2言3言言葉を交わすとそれぞれやるべき事をやるために行動を別にした。
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