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「―――ぅッ!!」
イオリは体を勢いよく起した。
動悸が激しい。一瞬ここがどこなのかわからなくなる。
だがイオリはすぐに冷静さを取り戻し、大きく息をついて辺りを確認する。
そこはイオリの見慣れた部屋だった。
「……夢か」
イオリはそうつぶやいて髪をかきあげる。
思ったより汗をかいていて手がじっとりと濡れた。
イオリはベッドの側へと視線を動かし、そこに置いてあった置時計で時間を確認する。
デジタル表示の時計には06:50と表示されていた。
「ミーティングまでまだ時間があるか……」
イオリはベッドから降り、汗で濡れたTシャツを脱いでベッドの上に放り投げた。
そしてシャワーでも浴びようかと思い立ち、勝手知ったる部屋の中を動いて着替えやバスタオルを取りだしはじめた。
ここはイオリの所属する民間軍事企業サイクスが所属者たちへ貸し出している隊舎の一室で、いまはイオリが自室として使っている部屋だった。
小さな部屋だがキッチンやベッド、トイレ、シャワーなど生活していく上で必要となる最低限の設備は整っている。
そのためイオリは大きな不満もなくこの部屋で日々の生活を送っていた。
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