苺大福

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瀬奈は人見知りの私にも。 『おはよう』 『あっ、またね』 『…教科書、逆さまだよ?』 みたいに挨拶をしてくれて、それがきっかけで仲良くなった。今はクラスが2組と5組という風に別々だけど。こんな風に。休み時間、廊下で喋るのが日課だ。 「それで。今日、教室にそのお家の子が迎えにくるんだ」 「うん」 私は。雨の中を傘を忘れて歩くくらいの、低いトーンで喋ってるのに。瀬奈はまるで飴の中を歩いて行くかのようなトーン。…全く、瀬奈も他人事だと思って。 「なんていう子?」 「えーと、…ナオ?だっけ。確か、苗字は『鈴木さん』だったような…」 「…」 「…瀬奈?」 聞いてきたのはそっちなのに。無言、って。ひどいぞ、こら。
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