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「おはよう。……凛」
そう言ってニタッ、と笑を浮かべる彼。
「……おはよ」
彼の名前は木崎真白(キザキ マシロ)。
家が隣で幼稚園の頃からの仲。
小学校、中学校、そして高校までもが同じという腐れ縁だ。
朝、約束しているわけでもないのに当たり前のように家の前で待っている。
「今日から新学期だね」
「そうね」
季節は春。
寒かった冬も終わり、暖かい季節がやってきた。
「今年も来年も……ずっとずっと一緒にいれる……ね」
「ちょっと誤解するいい方やめてよ。クラス替えがないだけでしょ」
「……ふふふ」
満足そうに微笑む彼にため息が出る。
真白は少し、変わっている。
それは、周りにいる友達にもよく言われ続けている。
“真白は、凛に怖いくらい執着している”……だ。
確かにそれについてあたしは気づいていないわけではない。
妙に溺愛されているというか……それこそ、執着されていると思ったこともたくさんある。
今までは、それが“当たり前”だと思っていたのであたしはそこまで疑問に思うことはなかった。
あくまで、今まで“は”。
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