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「今、一通り手当てをしたところだ。命に別状はないが、かなり熱が高い」
オレはあわてて靴を脱ぎ、氷枕を持って寝室に入っていく伊波の後を追いかけた。
ベッドに寝かされた慧は、あの台風のときみたいに苦しそうな息をしていたが、状態は、あのときよりもっと悪そうだった。
氷枕をあてがうために伊波が頭を持ち上げても、目を開けることもなく、ただされるままになっている。
「慧……」
「中川、ちょっと来い」
どうしていいかわからなくて立ちつくすオレの腕を、伊波が強引につかんで寝室の外へ連れ出した。
「おまえ、北城がどうしてあんなことになったのか、心当たりがあるんじゃないのか」
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