緋色の祈り９

11 悪夢

　慧は、オレが黙っているのを、怒っているからだと思っていたようで。
　ときどき、こっちをチラチラうかがう視線を感じて、ちょっとかわいそうになった。
　──そんな状態が２週間ほど続き、オレも慧も、だんだんお互いがギクシャクしていることに耐えられなくなってきた頃。
　伊波から、オレの携帯に連絡が入った。
『サレストのことや北城のことで、いくつかわかったことがある。今夜、出て来られるか？』
　待ちに待った連絡なので、そう言われて、もちろんオレがうなずかないわけがない。
　伊波は、オレに「見せたいもの」があるそうで。
　それは、まわりに人目があるとまずいものらしく、オレは言われたとおり、夜もだいぶ更けてから、伊波の勤める探偵事務所へ出かけていった。