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「九鬼芳行、36歳。優秀な内科医で、都内の一等地にクリニックを構えている」
写真の中には、そのクリニックが入っているピカピカのビルや、高級ホテルのフロントみたいに豪華な受付が写っているものもあった。
「奴の父親も、さらにその親も開業医で、今のクリニックは父親から受け継いだものだ。奴はまだ独身で、金づかいが荒く、毎晩派手に遊び歩いているらしい」
伊波は軽蔑したように言った。
「が、それはあくまでも表の顔で、そこまでは、特に調べなくても誰にでもわかることだ。問題は、奴の裏の顔だが……」
伊波は、なぜかそこで言葉を切り、ちらっとオレの方を見た。
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