11 悪夢

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 オレを事務所のイスに座らせると、伊波は厳しい口調で言った。 「俺はバイクに乗っていて、たまたまこのあたりを通りかかったんだが……北城は、マンションの近くの細い路地に倒れていた。さっき完全に意識を失う前に、あいつはおまえに『また心配をかけたくないから、連絡はしないでほしい』と言ったんだ。もしかして、前にも同じようなことがあったんじゃないのか?」 「う、うん。実は、3カ月くらい前にも熱を出して倒れたんだけど……もしかして、熱があるだけじゃなくて、背中にケガしてる?」 「背中だけじゃない。首から下は、全身傷だらけだ」 「──そんなにひどいんだ」  オレは、サーッと血の気が引いていくのを感じた。
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