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「あん…ま…。??」
甘~い香り。
とにかく、甘ったるい。
そんな香りが、白く曇った湯気と共に、鼻まで伝わってくる。
普段ならここは温泉特有の匂いしかしないが、今日は…奈央子の後は、違っていた。
溢れんばかりの湯を見ると、やはりと言うか、澄んだ桃色をしていた。
「なるほど、入浴剤か(笑)。温泉だもんなー」
桃色のお湯は、体を芯まで温めた。
甘ったるい香りは、この大浴場にマッチしている。
お湯は完全にまんべんなく桃色が溶け込んでいて、湯船に浸かった部分の身体は見えなくなっていた。
胸まで浸かる優に、甘い香りが眠気を誘う。
「桃か…」
この香りは桃だ。優は確信した。
色も桃色。香りも桃。
桃色―…ピンク。
名前も色も香りも一致するんだな。と優は気付いた。
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