1人が本棚に入れています
本棚に追加
「お邪魔する。」
「おう、いらっしゃい。」
チョコを作り終えた折紙がやって来た。
「待ちくたびれたぞ折紙!」
少し早く五河家へと来ていた十香が不満げに言う。
「料理は速ければいいと言うわけではない。」
「だが、速いに越したことはないであろう?」
「たしかにそう。でもいくら速くてもできが悪ければ意味がない。」
「むぅぅ……」
「落ち着け!お前ら!とりあえず、リビングに座ろう。」
出会って早々に喧嘩し出す二人をなだめ、リビングへ行くよう促す。
『士道、手はず通りにいくわよ。』
左耳のインカムから琴里の声がする。
「ああ。」
『チョコを差し出しできたらまず十香を選んで食べる。そして次に折紙のチョコを、最後に十香のチョコの味を、折紙のチョコは見た目を誉め、どちらにも善さがあることを示す。これで行けるはずよ。安心すればいいわ。』
「ああ、わきゃった。」
『いきなり噛んでどうするのよ、ばか。』
「……ぐ」
『兎に角、作戦開始よ、さあ、私達の戦争(デート)を始めましょう。』
「さあ、俺達の戦争(デート)を始めよう。」
そう同時に言うと、士道はリビングの真ん中で待機している十香と折紙に向き直った。
最初のコメントを投稿しよう!