五河バレンタイン

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「お邪魔する。」 「おう、いらっしゃい。」 チョコを作り終えた折紙がやって来た。 「待ちくたびれたぞ折紙!」 少し早く五河家へと来ていた十香が不満げに言う。 「料理は速ければいいと言うわけではない。」 「だが、速いに越したことはないであろう?」 「たしかにそう。でもいくら速くてもできが悪ければ意味がない。」 「むぅぅ……」 「落ち着け!お前ら!とりあえず、リビングに座ろう。」 出会って早々に喧嘩し出す二人をなだめ、リビングへ行くよう促す。 『士道、手はず通りにいくわよ。』 左耳のインカムから琴里の声がする。 「ああ。」 『チョコを差し出しできたらまず十香を選んで食べる。そして次に折紙のチョコを、最後に十香のチョコの味を、折紙のチョコは見た目を誉め、どちらにも善さがあることを示す。これで行けるはずよ。安心すればいいわ。』 「ああ、わきゃった。」 『いきなり噛んでどうするのよ、ばか。』 「……ぐ」 『兎に角、作戦開始よ、さあ、私達の戦争(デート)を始めましょう。』 「さあ、俺達の戦争(デート)を始めよう。」 そう同時に言うと、士道はリビングの真ん中で待機している十香と折紙に向き直った。
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