五河バレンタイン

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「………」 自宅のリビングで、五河士道は頬に汗を垂らすのだった。 「シドー!私のチョコを食べてくれ!」 「十香のチョコではなく私のを食べるべき。」 「…………ええと。」 腰まであろうかという闇色の髪を揺らし、あらゆる光を映し出す宝石のように輝かせた美しい相貌を持つ、『絶世』の美女が興奮ぎみに言い、純白の髪を肩口で揃えた表情の乏しい華奢な身体の少女が、やや攻撃的に言う。 彼女らの名は、夜刀神十香と、鳶一折紙。 士道のクラスメイトである。 その二人が可愛らしく飾られた包みを士道に差し出している。 二人の禍々しい視線に「どちらを選んでも死んだな、これ。」という思考がちらつく。 『二人が焦れてるわ、速くしなさい。』 耳元から響く急かす声。 何故こうなったのだろうか。 と、士道は、数時間前のことを思い出すのだった。
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