第1話

五河バレンタイン

士道は緊張に体を強ばらせる。そう、実は、十香や折紙、琴里は普通の人間ではない。特殊災害指定生命体。通称―精霊。
各地で観測される空間の地震と称される爆発、空間震。それの規模は様々だが、共通して、それを観測した地点は、何もなくなる。
なんの冗談でも比喩でもなく、抉り取り、クレーターを作り出してしまうのだ。
そしてその空間震の発生原因が、精霊である。
元々臨界に存在する精霊がこちらへ現れる際、余波として発生するのだ。
その精霊を武力による殲滅で対処を諮るのが対精霊陸自部隊。アンチ･スピリッツ･チーム、略称、ＡＳＴ。それに敵対し存在する、対話による平和的解決を諮るのがラタトスク機関。そしてラタトスク機関の所有する空中艦フラクシナスにて、司令官である琴里が指揮を執り、封印能力を持つ士道を交渉役として、今まで遭遇した精霊、9人中8人の力の封印に成功している。その封印方法がデートしてデレさせ、キスをするというなんとも間抜けなものだった。
しかし、琴里が先に述べた通り、精霊の機嫌が著しく悪くなると、封印した霊力が逆流してしまうのである。
よって今回のような事態はできる限り避けたいものだった。