IIXV

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「そんな病気になんか負けるなよ。 実はさ、俺の姪っ子がそうなんだ。 同じ病気で苦しんでる。 姪っ子、学校に行ってなくてさ でも、俺たちあの頃とは違う。 少しは成長してるしさ だから飛鳥を守れると思う。 理解も出来る」 マサヒロの言葉に 飛鳥が泣きながら頷いた。 ずっと……苦しんでいた気持ちが みんなの言葉で ゆっくりと 癒されていくのがわかった。 大好きなトモ君とは 話した事でギクシャクしてしまった。 場の読めない私を苛々と見つめていた トモ君の、灰色の瞳…… 悲しくて心が千切れそうになった。 話さなかったら良かったんだって 何度も後悔した。 みんなに話した事で 余計に迷惑をかけるかもしれない。 負担に思うかもしれない。 でも、一つずつゆっくりと 考えながら、 言葉を選んで それから状況も把握して 迷惑かけないように、負担にならないように…… 「飛鳥!」 考え込んでいる私にマサヒロが声をかけてきた。 「今、飛鳥が思ってる事、当ててみようか!」 飛鳥は、顔を上げて首を傾げた。 「みんなに迷惑かけないように、思った事を言う前によく考えて、喋るようにしよう。 当たりだろ?」 マサヒロの言葉に飛鳥は慌てて頷いた。 「そんなのいいよ! つまんねぇじゃん!ガンガンなんでも思った事言ってさ、喧嘩しよう! 会社じゃ、流石にそれはきかないだろ? 頑張るのは、会社だけでいいよ」 「うん!私もそう思う! 飛鳥が嫌な事、もしも言ったら目の前でちゃんと言う。 それに、ほらヒロシみたいに、ノー天気にさ 気にしないで話して みんなで思った事、ぶつけ合って……」 「また、俺かよ!」 ヒロシが大袈裟に仰け反ったのを見て みんな声をあげて笑った。 「でもさ、俺もそう思う。 言いたい事言うのが友達でさ、 こんな俺でも職場では、重要なポストにいて……」 「えっ~~!!」 「渚!黙れ!」 また、みんなで声をあげて笑った。
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