II

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今日も残業…… 電車に揺られながら 私は 星も出てない空を見上げた。 せめて星の一つでも見えてたら 少しだけでも元気になれるのに…… なんだか余計に気が滅入る。 女上司の 怒鳴り声と 皮肉混じりに言った言葉が 頭の中から離れなくて 気を許すと泣きだしてしまいそうな自分を必死に抑えた。 自分のせいだって わかってる。 だから 情けなくって 自分に腹がたって…… 毎日毎日、 立て続けにする自分のミス。 言い返す事も出来ない。 「この計算、間違ってるよ。 小学生の低学年でも出来る計算だよね? 島田さん意味わかってる?」 「自分が理解もしてないで どうやってお客さんに、説明するの?」 すいません。 もう一度 教えていただけないでしょうか? 「エクセルの資格 どうやってとったの? だ、か、ら! あん!もういいや! 私がやるから! 説明してる時間が、ないの! わかる? お客さんは待っててくれないの!」 「注文しておいた商品じゃないのが 届いてるけど、 これ私、昨日 島田さんに、発注頼んだよね?」 「ねぇ、字は読める? 一応 日本語で書いたつもりなんだけど ごめんね。漢字、多かったかな?」 「子供のおつかいじゃないんだから こんな単純な買い物 忘れないでもらわないと。 これじゃ、うちの5歳の息子に頼んだ方がよかったかも 3つ頼んじゃったから、解らなくなっつゃったんだよね。 ほら、いつものメモ帳 あれは? ほら、営業さんの似顔絵とか悪戯書きしてるメモ帳。 あんなの書いてないで 買ってくるものメモしてよ」 「何回も説明したよね? もう一回、もう一回って 一度で覚えて貰わなきゃ困るんだけど ここ、学校じゃないんだよ! 何回も説明したよね…… ……何回も教えたよね…… すいません。 今から注文してみます。 「もう、いいわ。 間に合わないから… …」
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