II

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そこでひょっとしたらって インターネットなんかで調べて 藁をも掴む思いで僕らの所にくる。 そんな人がたくさんいるんだ。」 長い前置きを終わらせて 医師は私の顔をゆっくりと見つめた。 「辛い事が たくさんあったと思います」 その言葉を聞いて 私はちいさく頷いた。 ずっと、誰かに認めて欲しかったのかもしれない。 たくさんのミスが不注意から起きる事じゃないって事。 頑張っても出来ない事があるって事を 認めて欲しかった。 堪えていた涙が ぼろぼろとあふれる。 「もっと詳しく知りたいなら、 ここより、施設が整った病院を 紹介出来るけど、どうする?」 今度は、 大きく息を吐き出してから、私は答えた。 「って言っても…… 治る病気じゃ ないんですよね? たくさん検査して、 知能指数確かめて…… でも、治る病気じゃなくて」 「この先、生きていく道が見える。 その、足掛かりにはなるよ」 私の言葉を遮るように 医師は答えた。 つっかかるつもりだった訳じゃない。 ひょっとしたらって 思ってた。 だから病院にきた。 いろんな病名を、ネットで調べてもきた。 でも… やっぱり そう言われたら 勝手なもんで、少し納得がいかなくて…… 私は黙り込んでしまった。
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