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ベッドの上で寝返りを打った私に
トモ君が声をかけてきた。
「眠れないの?」
「うん。
おかしな夢見ちゃって、
目が覚めちゃった」
「どんな夢?」
トモ君が伸ばした腕に頭をのせて
私は話しを続けた。
「目が覚めたらね」
「夢の中で?」
「うん……そう。
夢の中で目を覚ましたの。
真っ暗な部屋に
一人でいてね
その部屋にある大きな窓から
真っ赤な鳥居を見てる夢」
トモ君は
腕まくらをした手で
私の前髪をいじりながら
顔をしかめて言った。
「なんか怖い夢だね……」
「うん。たったそれだけの夢なのに
なんだか凄く怖かった。
夢ってさ、
意味があるってよく言うでしょ?
こんな夢みると
何かあるのかなって
考えちゃうよね」
仕事が終わって
トモ君の家に向かう暗い道で、
おかしな声がした。
見つけた…………って、
声……
周りに人なんか、誰もいなくて
でも、
そんな話ししたら
気味悪がられるかなって……
トモ君に話さずにいた。
きっと、
そんな事考えながら寝たから
そのせいなんだ……
「ねぇ、トモ君?」
黙って天井を見つめるトモ君に
私は声をかけた。
「あぁ……」
…………気のない返事。
私は
ちらりとトモ君の顔を覗き見た。
「トモ君、
今
他の事、考えてたでしょ?」
「いやっ……」
「嘘だぁ
今、絶対
他の事絶対考えてたでしょ」
わざと顔をしかめてそう言った私に
トモ君は 少し笑って答えた。
「ごめん。
思い出しちゃったんだ」
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