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「もう、ずっと昔の
子供の頃の事……」
私はトモ君の腕の中で
ゆっくりと話し始めたトモ君の話しに耳を傾けた。
「迷子になったんだ。
親に連れて行って貰った公園にさ、
すげ~でっかいジャングルジムがあって
次の日
隣の席に座ってたクラスの女の子に
その話しをしたら
行ってみたいって言われて、
二人で日曜日に待ち合わせした。
でも……
一度しか行った事がない公園だったからさ
途中から
道が、わかんなくなっちゃって迷子だよ。
俺
小さい頃から
かっこつけだったから
その子に
迷子になったなんて言いだせなくてさ……
辺りは
どんどん真っ暗になっちゃうし」
トモくんは
ベッドの横に置いてあったライターを取って
手のひらで弄びながら
宙に投げてくるりと回した。
「彼女、泣き出しちゃったんだ。
俺も怖くなって……
でも泣けなくて
必死で彼女の手をひいて歩いた」
私はトモくんの肩に頭をのせたまま
黙って頷いた。
「揚げ句に
散々歩いた先が行き止まり。
その時……
目の前に神社があったんだ。
見上げた石段の先に
真っ赤な鳥居があってさ
月も出てない夜で、街灯すらない
真っ暗な場所なのに
闇の中に……
その鳥居が
ぽっかり
浮かんでるように見えたんだ。
すげぇ、怖いくて……
飛鳥の夢の話を聞いて
その時の事
思い出しちゃったんだ」
トモくんが
私の頭をくしゅくしゅと撫でて
苦笑いをした。
「かっこつけも、そこまでで
俺も、鳥居見てビービー泣いちゃってさ
二人で必死になって走って逃げ出した。
で、結局
夜中まで帰って来ない俺たちを
血相変えて親が探してて
無事、二人とも捕獲された」
にやりと笑ってともくんが
言った。
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