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「鳥居って
なんだか怖いよね」
私の言葉に
トモ君は、難しい顔で頷いた。
「うん。両脇にいる狐の……
置き物みたいのがあるだろ?
あれが、また怖いよな。
さて、そろそろ寝よっか!
飛鳥姫の楽しみにしてる遊園地。
寝坊して行けなくなっちまったら
姫のご機嫌、損ねちゃうからな」
私は頷いて笑った。
でも……
トモ君の話が
頭にこびりついて
なんだか
寝付けなかった。
「なぁ飛鳥……
こっくりさんってした事ある?」
何度も寝返りを打つ私に
眠ったって思ってたトモ君が
目をつぶったまま
話しかけてきた。
「ごめん!
私がごそごそ動くから眠れないよね」
私は
慌てて謝ってから返事をした。
「中学の時
凄く流行ったけど……
私は怖くて、
ほとんどした事ないんだ。
放課後にね
教室に残ってたら
クラスの女の子が
しようって言い出して……
でね、みんな盛り上がっちゃって
なんだか断れなくて、一度
嫌々した事があるの。
ほら、そういう時ってさ
一人で嫌がると、場が白けちゃうでしょ?
で……
断れなくなっちゃって……
その時にね」
私の話を聞きながら
トモ君は枕をベッドに立てかけて
それを背もたれにすると
寄りかかって
煙草に火をつけた。
「やっぱりやめた……」
「なんだよ……
言いかけてやめるなよ!気になるだろ」
「だって……
こんな夜中に、話したら怖くなるもん」
トモ君が
私をみて首を振る。
「聞かせてよ」
私は大きくため息をついて頷くと
トモ君の膝に頭を乗せて
話を続けた。
薄暗い部屋の中で
トモ君の吸った煙草の煙が
ゆらゆらと揺れる。
「手を離すとさ、
ダメだっていう話し知ってるでしょ?
一緒にやってたクラスの子がね、
凄く怖がって
途中で私にしがみついてきたの。
凄い勢いでしがみついてきたから……
私まで
よろけちゃって、
そしたらその子
そのまま、転んじゃったの」
「手を離しちゃったの?」
私はトモ君の膝の上に
顔を埋めて頷いた。
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