IIXV

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「飛鳥……」 渚が飛鳥の手を握りしめた。 渚を見て笑いかえした飛鳥は 考えながらゆっくりと話し始めた。 「つまり、簡単に言うと空気が読めなかったり 無意識に言った言葉で 人を不快にさせたりするって事だよな」 「うん。 だから今まで、沢山色々あったの。 会社でもミスばっかり。 けど、会社の子がね、そんな私をずっと見てて 声かけてくれたの。 だから今 少しずつみんなが認めてくれて 苦手な仕事をかって出てくれてたりして 迷惑かけながらも 今も、どうにかやってられるんだぁ。 だから……」 飛鳥はおおきく息を吸い込みま 顔を上げると みんなを見つめていった。 「もしかしてこれからも みんなに迷惑たくさんかけちゃうかもしれない。 カチンとくるような事、言っちゃって傷つけちゃったりする事もあると思うの。 でも、もう私…… 一人で家にいたくないの。 みんなと、時々こうして会って 一緒に笑ってたい」 「飛鳥、心配する事ないよ。 もしさ、気になる事があったら 俺たちが伝える。 例えば飛鳥が、気付かないでマサヒロに嫌な事言っちゃったらさ 他の人間が、飛鳥に伝える。 直接だとあれだけどさ 他の人間が言えば飛鳥もわかるだろ?」 康太が、考え考え飛鳥に言ってから、 ニヤリと笑っ付け加えた。 「それにそんなの、みんなあるしさ…… ヒロシなんかいつもだよ」 「なんだよ!それ!」 康太の言葉にヒロシが仰け反って言い返した。 「でも、飛鳥。 本当にそう思う。 そんなのってさ、誰にでもある」 俯いて大きく首を振る飛鳥の肩に 渚が手を置きながら話を繋いだ。 「中学の時、確かにそれで私達、喧嘩しちゃった…… でも、今ならわかる。 飛鳥が、どんなに苦しんでたのか」 渚がそう言いながら、ボロボロと涙を流した。 「飛鳥がおかしな行動に出たら 俺たち、ちゃんと話すよ。 嫌な事があったら、飛鳥がヘコタレないように、 上手く伝えるから」 「みんなを不快な気分にさせちゃう事 たくさんあるかもしれない。 でも、伝えておきたかったの。 ごめんね。 伝えた私は楽になるんだ。 逆にみんなには負担になるだろうなって…… だから 言うべきかどうか悩んだんだけど」
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