第一章:シアワセ

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栗色の髪をシュシュで束ねた妻は優しい笑顔で振り返り、「おはよう」と呟く。 妻と全く同じ言葉を返した俺は、ダイニングチェアに腰を下ろした。 「今日は目玉焼き定食だけどいいかな?」 「あぁ、ありがとう」 妻に微笑みながら黒塗りの箸を手にした俺は、お椀に入った味噌汁に口を付ける。 可愛いアニメ声がテレビの方から聞こえてきたので顔を向けると、6歳になる娘の美優がテレビの前で正座をしていた。 「なんのアニメを観ているんだ?」 俺が美優の背中に問いかけると、くるりと振り向いて言葉を返す。 「パパ知らないの?ブリキュアマックスハート」
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