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「残酷なこと、されたの?」
その横顔がすごく寂しそうに見えて、私は思わず声をかけていた。
「……言えないようなこと?」
彼は私を横目で見た。
「言えるよ。……またねって別れたきり、いなくなったんだ」
「いなくなった…ってそれ、失踪?」
私が驚いて聞き返すと、彼は違う、というみたいに首を振った。
「引っ越してた。いきなり。またねって言ったのに。……そう言ったくせに。……たぶん」
話をして感情が甦ったのか、唇をきり、とかみしめて彼は顔を覆った。
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