39人が本棚に入れています
本棚に追加
「海外の……あいつのとこに行ったんだ。……でもせめて、さよならくらい、言ってほしかった。
あのひとにとって俺は、さよならを言う価値もなかったのに……それなのに」
彼は私がまるでその女だというかのように、きつい目を向けた。
「それなのに……俺だけはまだ……こんなにつらいんだ」
自分を蔑むようにそう呟いた彼は、まるで傷ついた小さな生き物のように見える。
私は年上の女として、彼を慰める義務がある。
なんとなくそんな気がして、少しだけ笑えた。
最初のコメントを投稿しよう!