ラスティ・ネイル

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「別れる時は私からさよならを言おう。絶対にそうしよう。最初からそう思ってた。 なのに、こんなに私のすべてを塗りかえたくせに、あのひとは」 私はラスティ・ネイルを飲み込んだ。甘いはずのそのお酒はなんだかもう、ひどく苦い。 「別れてくれって。奥さんに気づかれるからもう会えないってそう言った。……何もかも、最低でしょ」 今度は私が彼を、まるで憎むべきひとのように(にら)んだ。 心の奥がきいきいと(きし)んで、あの時の痛みが甦る。
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