ラスティ・ネイル

28/35
前へ
/35ページ
次へ
「そんなに笑わないでよ。傷つくなあ」 少し(ふく)れた彼に、ごめんね、と言いながら私は、久しぶりに心から笑ったような、そんな気がしていた。 私は涙を拭きながら、ほっとひとつ息をついた。 その時、からんとドアが軽い音を立てた。 その音に私たちが振り向くと、わずかに息を(はず)ませた男の人が一人、もう彼の後ろに立っていた。 年令は神谷君と同じくらいだろうか。背が高くて肩幅の広いその青年は、焦ったように勢いよく言った。 「大丈夫か、(しゅう)
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加