38人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
それは、南の国の海のような、美しい青い色をしていた。
細いピンに刺した赤いチェリーとライム・ピールが、そのカクテルの青色を鮮やかに引き立てている。
え?と見上げた私に、神谷君は生真面目な顔で言った。
「僕もあいつの、周の言うことは正しいと思います。……蒼衣さんはこういう、綺麗な色のお酒を飲むべきです」
私がカクテルグラスの細い足に指で触れると、カウンターの上で、その爽やかな色はゆらゆらと少しだけ、揺れた。
最初のコメントを投稿しよう!