ラスティ・ネイル

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「綺麗ね。……何て言う名前?」 「『クールビューティ』です。今夜はこれ、ご馳走します」 ありがとう、と神谷君に言って、私は青い色を見つめた。 「あなはたきっと、やり直せるよ」 彼の言葉が、耳の奥に響いた。 私はたぶん、歩き出せなかったのではない。歩き出さなかった。 失くしてしまった恋の中にどっぷりと(つか)ったままで、何も見ず、そして何も聞こうとはしなかったのだ。
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