ラスティ・ネイル

4/35
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「お待たせしました」 「ありがとう」と神谷君に答えて、ひと口そのお酒を飲んだ。 久しぶりに味わう甘さと、わずかに香るレモンの涼やかな香り。 その、琥珀色(こはくいろ)の液体はグラスの中で、まるで私の心のざわめきのように、砕かれた氷をまとったままゆらゆらと揺れた。 その味をわずかに懐かしいと思って、私は思わず神谷君に声をかけていた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!