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それは私にはどっちでも良かったのだけれど、生真面目な答えは何となくその風貌に似合わない気がした。
「も…って言ったけど。……あなたも、ふられたの?」
酔っているのか、どこか艶っぽくて綺麗なこの青年に「失恋」というキイワードは似合わない。
そう思ったのにそう聞いたのは、たぶん単なる好奇心だったのかもしれない。
彼はその細い指で、目の前に置かれたグラスの中の氷をゆらり、と揺らした。
丸い氷はグラスの縁に触れて、からんと軽い音を立てた。
「女のひとは、残酷だよね」
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