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『なんなんだろう、この感じ…
急に布団に入ると寂しくなる。』
この青年がこの様に、思い誰かに隣にいて欲しいと、強く思い始めたのは、中学三年生の、卒業式が閉会し、今まで友と呼び合っていた同年代の人々と、熱く思い出を語り合い、そして涙しては笑いあって、そのような雰囲気を周りが作り上げているというのに、全く飲まれることなく、ただ一人、別の思いを胸に抱き、頬を赤らめながら、ジッと卒業式様に、綺麗に敷かれた緑のゴムシートを見つめていると、この年の平均身長程で、ワックスで固めたのであろう、髪を落ち着き目に逆立てた男性が青年に近寄り、右肩にそっと手を置き。
「よっ!どうしたんだよ、まだ言えないでいるのか?」
そう尋ねてくる、男性の表情は、ぎこちない苦笑いを作る。
「あっ、あぁなんか、こう…いざ言おうと思うと、今までにない緊張感って言うか、なんというか…」
青年は、ゴムシートに目線を向けたまま顔も上げずに応える。
「ははっ、まぁそんなもんだろ!でも相手はお前の幼馴染だぜ?もっと気楽に行けるもんかと思ってたんだけど、やっぱり告白ともなると、また別なんだなぁ」
男性はそう言いながら、青春の座っていた隣に横1列に綺麗に並べられた、パイプ椅子1つの上側を手に取り、軽く椅子毎、後ろに下げると、青春の肩に乗せていた手を退けて、腰をパイプ椅子へと下ろす。
「当たり前だろ!今まであいつと色んな会話してきたけど、こんな真面目過ぎる話なんて、したことなかったしさ」
青年は、応える。
「でも、言えないままで終わる程、みっともねぇことはねぇからよ、俺があいつを呼び出してやるよ!」
その男性の言葉に、ハッと驚いた表情で、顔を上げ男性と視線を同じくする。
「ま、マジで!それもそれで緊張がっ!って、あれ…おい!恭介」
その男性、恭介は、青年が視線を落とした時、既にパイプ椅子から、腰を上げその青年が思いを寄せている人物の、探索へと早々に駆け出していた。
「何事も、言ったもんガチなんだよ、健太!嫌だったら俺を追い抜かして先に伝えることだなぁ!」
申し遅れたが、この物語のメインとなる青春の名は、『雨宮 健太』
。
健太も、追おうと腰を上げようとするが、恭介は、卒業式の挙げられていた、会場の出入り口まで辿り着いておい、間に合わないと判断したのか、健太は、再び重そうな腰をパイプ椅子へと下ろす。
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