氷炎

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「まあ、山小屋で一泊したら直ぐに下山だけどね」 「体鈍っているからなあ、それでもきついだろうな」 「お父さんがそんなんじゃ、子供がかわいそうだよ?」 「おっさん扱いかよ」 「おっさん、おっさん」  屈託なく悪態を吐き、肩を叩く。  軽い言葉のやり取りも、三年前に戻ったみたいで楽しい。 「しかし、他の奴等は集まらなかったのな」 「まあ、実家で正月休みが無いのもいるし、バイトに精を出してるのもいるし」 「バイトねえ。何で就職決めなかったんだか。あいつ頭良かったのに」 「夢、追い掛けるって言っていたじゃない」  名前が出なくとも、誰の事を指しているのかが分かる。  こういう仲間内、みたいな会話が嬉しい。  会社では気詰まりするばかりで神経が磨り減る。  毎日、同じ事の繰り返しなのに。 「それじゃあ、行きますか」
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