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ふわりと、視界に白いものが入り込んだ。
「雪?」
空に舞うそれに彼が手を伸ばす。
肌に触れても、溶ける事のないそれ。
「雪虫じゃないの?」
覗き込むと、受け取られたそれは雪の欠片でも虫でもなかった。
「何だ、灰?」
指先に摘まんで擦れば、細かな粒子となって崩れ果てる。
もう一つ、ふわりと風に運ばれて来た。
それも受け止め、灰である事を再び確かめる。
「誰かが、火を焚いている」
「風上からだよね」
二人して、辺りを見渡す。
ふわりと、頼りなげなく飛んで来る灰。
その仕草が、優しく手招きしているみたいに見えた。
「行こう」
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