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火勢が弱まる度に、小屋の片隅に積まれたほだ木を放り込む。
出入口の無い小屋は殆ど外と変わらず、身体は一向に温まらない。
「カルマン渦って言うんだってな」
焚き火の先端にある炎が渦巻くのを指差し、彼が呟く。
「炎舞って絵が有るんだけどさ、真っ暗な中に炎が焚かれていて、その周りを蛾とかの虫が飛び交っている構図の……日本画だったかな」
「いい加減だね」
曖昧な記憶を笑う。
「うん。でもさ、その中にああやって渦巻く炎がきちんと描かれているんだ。それに炎の中に飛び交う蛾が凄く妖しげな雰囲気でさ、背景の闇色と炎の色と、綿密に描かれていて見ていると吸い込まれそうな絵だった」
語る彼の首がことんと傾き肩に乗る。
「寒いね」
「うん」
返す言葉にわずかに頭が振られる。
そのまま、穏やかな寝息を立て始めた。
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