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黒い髪を靡かせ、金髪を見つめる
金髪はまだ一つも魔法を見せていない。それなのに、万全な状態のこの魔族と互角、いやそれ以上に渡り合える
鋭利な刃物となって金髪めがけて降り注ぐ魔族の攻撃。
何回かは金髪の頬を掠め、金髪の頬から血が流れ出る。
だが心なしか金髪は口角をあげているように見える。
そんな姿の金髪は戦闘狂みたいだ。
「……楽しそう」
両者一歩も引かず、攻撃を続けてる最中、少年は一歩一歩、金髪に近づく。
「……!?おい、お前!危ないだろうが!!こっちにくるな!怪我するぞ!!」
「……危ない?なんで?」
きょとんとして、聞き返す少年。
「バカなのか!?Eクラスの貴様なんか相手にならないんだぞ!?いいから下がってろ!!」
(それこそ俺が君に言いたいんだけど)
金髪の五月蠅い声に眉を顰める少年。
金髪は、そんな少年に舌打ちを零して、助けようと飛躍した。
そして、少年を横抱きに抱えて宙を舞う。
さながら、この金髪は正義のヒーローにでもなったつもりだろうが、不愉快にも横抱きにされた少年は案の定不機嫌だ。
「………、」
「一年、俺様に迷惑をかけるな──っ!!?」
突然の腕の痛みに、横抱きにしていた少年を落としそうになった。
痛みがした場所を見ると、くっきりとした……
「離して。……せっかく、いい所だったのに。」
チッと舌打ちをする少年。
金髪がおどろいて、痛みのした腕を見ると少年がつけた、歯形がついていた。
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