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「ねえ、…俺に手を挙げるなんて、覚悟は出できてるよね。」
カチャリと魔族に銃口を向ける。
「無駄だ!そんな銃振りかざしたところで貴様ごとき一年が、」
貴様、ごとき、ね。
「大丈夫、殺しはしないから」
ヒラリと後ろでゴタゴタ喋る金髪に手を振り引き金を引く。
その刹那─銃口の前に幾重にも連なって魔法陣が並ぶ。
並大抵の魔力ではこんなに魔法陣をだせるはずがない。
少年の魔力に開いた口がしまらない金髪。
その姿はもう少年の目には映ってはいなくて、ただ、ただ、少年は魔族を捉える。
「───deth stlict【死の制限】」
呪文を唱えると同時に放たれた銃弾は何枚も連なった魔法陣を一直線に貫き、魔族の頭に直撃した。
その銃弾は貫通するのではなく、銃弾と魔法陣によって現れた鈍色の鎖がグルグルと魔族の体に巻き付く。
『ウギィャ─』
「大人しくしなよ。言ったろ。俺は、人には優しくないが化け物には優しいって。」
少年はふぅ。と一息つき、銃をしまう。
まあ、一件落着ってことかな。後はこの魔族を魔界につれてけばいい。
鎖でグルグル巻きにされて、身動き一つとることのできない魔族に近づき。細い腕でズルズルとまるで犬の散歩をしているかのように鎖を引っ張る少年。
黒い瞳はもう眠たそうである。
「──おい!ちょっとまて!貴様─そいつをどうするつもりだ!」
やっと我に返った金髪は少年に問いただすが少年は無表情のままチラリと金髪に視線をむけるだけだった。
そんな無関心をあからさまに顔にだす少年に金髪はチィッと舌打ちをこぼし、
「名は。お前の名はなんだ」
一番聞きたかったことをたずねた。
その言葉に少年は一度歩みを止め、振り返る。
そして、なんの感情も思い起こさせない声と顔で、ゆっくりと口を動かした
「─俺はレイ。レイ・エドワード」
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