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──一方、その頃のシン
お気に入りの赤いピンで前髪を止め、髪を後ろに一つにくくり、糊の張ったスーツへを身に纏って、『ある場所』へと訪れた
自然と頬がゆるんでしまう
──あいつ、びっくりするだろうな
イタズラする前の子供のように悪い顔を浮かべてその場所へ踏み入れた
だって、あいつ知らねーだろう?絶対驚くはずだな
あの、なめくさった、死んだ魚の目をした幼なじみの目が丸くなるはずだ
まさか、俺が、
「……今日からこのAクラスの担任をする、シンだ。」
レイのクラスの担任だなんて、考えてもないだろうな。
独りでにレイが驚く様を想像して顔をにやつかせるシン。そんな彼が、レイがこのクラスにいないことを知るのにはそんなに時間はかからなかった。
出席簿に、あいつの名前がない…だと?
一人でぶつぶつ考え始めたシンに対し、ある一生徒が手を上げ授業を催促する
「…先生授業は、ー」
「うるせえっ!それは俺の用事より大切なことか!?」
そう言うやいなや、すぐに教室を出て行ったシンに、残された生徒は呆然としていた。
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