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でもなぁ……逃げるっつってもコイツが逃がしてくれる訳ねぇだろうしなぁ……。
しょうがねぇ。アレ使うか。正直アレ使うのはダルイんだが、使わねぇと逃げれねぇしな。
「おい、こっちだ!」
「……警備」
警備も来ちまったし見つかる前に行きますかね。
「じゃあ俺は帰るわ」
「私が逃がすと思うの?」
「違うな。お前が逃がすんじゃなくて、俺が逃げるんだよ」
「……っ。まさか!」
俺がやろうとしてる事に気づいたっぽいけど少し遅かったな。
慌てて俺を止めようとしてるアイツを見ながらニヤリと笑う。
「じゃあな。また会わない事を祈ってるよ」
「まって!」
その言葉を最後に、俺の周りの景色が一変した。
辺り一面木しか見えなかった林から、ビルに挟まれた裏路地へ。
「ふぅ……。なんとか無事に逃げられたな」
壁にもたれ掛かって一つ息をつく。
それにしてもアイツ強かったなぁ。魔法側にもあんなやつが居たんだな。
まぁでも、そうそう会う事なんて無いだろうし大丈夫だろ。
「それに今日はもう疲れたしな、さっさと帰ろう」
そう呟き、裏路地を後にして帰路についた俺は、一つ大切な事を見落としていたのには気が付かなかった。
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