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「おはようございます。飛鳥先輩」
後ろから聞こえてきた声に振り返ると、よく見知った顔がいつもの無表情で歩いていた。
「なんだお前かよ……。驚かせんなよな、弥生(やよい)」
すみません。と言って、俺の横に並んで歩き始めた弥生は、おもむろに持っていた鞄を開けると何かを取り出しつつ口を開いた。
「そういえば朝食べた残りのサンドイッチがここにありますけど食べますか?」
「あなたが神か」
弥生から貰ったサンドイッチをペロリとたいらげる。
美味い。サンドイッチってこんなに美味かったのか……。
「美味しかったですか?」
おっと、俺としたことがサンドイッチが美味すぎて少しトリップしちまってた。
「おう、めちゃくちゃ美味かったぞ。ありがとな」
「いえ、どうせ残り物でしたし」
そう言いながらも弥生は少しだけ俺の近くに寄って来た。
男にしては身長が低めな弥生の頭が、歩くリズムに合わせて揺れている。
ははぁんなるほど。そういうことか。
ようし、お礼に撫でてやろう。
「………………」
どうやら俺の選択は間違っていなかったようで、無表情な弥生が心なしか嬉しそうに見える。
お礼に頭を撫でてもらって喜ぶなんて可愛い奴め。
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