*

4/6
前へ
/10ページ
次へ
そうだ、一番弱かったのは俺だった。 神楽は弱いから俺が守らなきゃって。 強がって、強がって、結局神楽に守られてた。 …父さんを殺そうとしたとき、自分が自分じゃなくなっていくような感覚がした。 止めに来た神楽すら殺そうとしてた。 怖かった。 神楽を手にかけようとしてた自分が。 情けなかった。 神楽を守るためとやったことなのに、自分にも勝てなかった自分が。 また、神楽を手にかけたくなくて、逃げたんだあの場から。 弱い自分を捨てたくて。 神楽の為、神楽の為と言い訳して。 あのとき、一番神楽の為になったのは、きっと俺がアイツの傍にいることだったんだ。 今さら気づいても、もう後戻りはできない。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加