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《輝雅の通う学園へ潜入して輝雅とあやしい関係の人間がいないか探る》
それが俺に課せられた使命だった。
それを俺に告げたのは、彼の父親である。
旦那様直々の命令だ。
『あやしい関係』とは、恋人を指すのだろう。
前に聞いたことがある。
あの学園では同性愛が当たり前のように存在し、その象徴のように生徒会という学園のトップ機関は人気投票で決められるらしい。
そして俺はさっきの言葉だけで、本当の意味を察知した。
そういう特訓を受けてきたのだ。
早乙女家の執事、秘書にふさわしい人間になるために。
きっと旦那様はすでに輝雅様が誰とそういった関係になっているという情報を掴んでいる。
そう、人まで特定できるのだ。
それが、早乙女の力。
あやしい関係の人間がいないか探るのではない。
その人間と輝雅様の関係を排除するのだ。
それが今回の俺の役目。
言い渡された今回の計画。
俺が輝雅様にばれないように変装して、輝雅様の周りに取り入る。
主に輝雅様と関係を持つ人間、柳瀬和緋に。
でも、それは輝雅様を傷つけることなのではないだろうか。
それに、輝雅様は心臓がよくない。
もし、負担にでもなれば・・・
取り返しがつかないことになれば・・・
全ては俺の責任になる。
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