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鈴歌はとても不安だった。
くじ引きでペアを決めたため、双子の鈴李とは別々になってしまったのだ。
深いため息をひとつ吐き、再び番号の書かれた紙を見る。
同じ番号の書かれた紙を持つ人を探してこの不気味な建物に足を踏み入れなければならない。
それは戦う事の出来ないすずかにとってはすごく不安で恐い。
それにペアの方の足手まといになってしまうのではないかという不安もいっぱいだった。
とにかく先にペアの方を探さなければ。
辺りを見回すと、他の方々は次々にペアを組む相手を見つけ、屋敷へと入っていく。
私は歩みを止めずに入る事が出来るのだろうか?
「ねぇ、あなた何番?」
不安でうつむきかけていた時、後ろから声をかけられた。
振り向くとすずかより少し低い女の子が立っていた。
「あ、私は弐番です!」
番号の書いてある紙を掲げて見せる。
「私もです」
同じように“弐”と書かれた紙を掲げてにっこりと笑う女の子に少し心が軽くなる。
「私は鈴歌って言います!よろしくね」
「私は茉夸です。よろしくお願いしますね」
簡単に自己紹介をした後、チラリと屋敷に目を向ける。
「茉夸ちゃん、すずかが足手まといになったらごめんね……」
「大丈夫ですよ!一緒に頑張りましょう!」
ああ、怖い人じゃなくて良かったと思う。
とりあえず、屋敷の前に移動する。
屋敷を目の前にすると緊張と恐怖で全身が震えた。
「鈴歌さん、大丈夫ですか?」
隣に立つ茉夸ちゃんは子供をあやすように私の背中を優しく撫でてくれる。
「茉夸ちゃん、ありがとう……。お陰で少し楽になったよ!」
改めて屋敷に向き直る。
入ったらどうなるのか分からないけど、私は一人じゃない。
「行きましょうか」
その言葉と共に一歩前に足を踏み出した。
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