1人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「あれ? においがとぎれてる?」
鼻をすんすんと鳴らし周りを見渡すがちるの姿が見つけられない。どこだろ、と言いながらあちこちを探し回るが見つけられない。残り香があるのでそう遠くないと判断して探しているが、彼、けんたは一つ見落としていた。ちるが鶴、すなわち鳥のセリアンであるということを。
****
自分の真下を探しにきたときはヒヤリとしたが、徐々に離れて行くのを見て缶のもとへ引き返すことを決めたちる。もう一度、彼の行動を確認して立ち上がり、飛ぶか走るかを周囲を確認して決める。
「飛んだ方が速いですねー」
助走を始め屋根の端で踏み切り飛ぶ。缶のもとへ滑空体制に切り替える、その時。
――自分の顔の横を何かが掠めた。
「っ!」
頬に痛みが走って漸く何が起きたのか把握した。
****
最初のコメントを投稿しよう!