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チュニカは自分と太陽の位置を見比べ、先ほど自分は太陽を左に歩いていたと記憶から情報を得る。では始めの場所へ向かうのに自分の右に太陽があればいいと判断し、動き出した。
歩き始めて数軒ほどしても、先ほど歩いていた道に似て非なるように思える。しかし、頼りになるものは他にない。
これは缶けりだ。大きな声を出せば自分の居場所を知らせしまう。勝負を自分から仕掛けたのにみすみす捕まるわけにはいかない。
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開始早々に捕まり、鬼がちるを探しに行き、缶とともにポツンと残され、とにかく暇だった。
「せっかくちるちゃんとチュニカちゃんとあそんでいるのにつまんない」
近くにあった踏み台を椅子代わりに座り地面に絵を描いて遊ぶがこれではいつもと変わらない。
「はやくきてよー!」
つい叫んだとき、その小さいながらも長い耳が足音を捉えた。そちらを振り向けば、今朝あったチュニカが周りを様子見しながらこちらに向かっていた。
「チュ、――ニカちゃん」
嬉しくて思わず大声を出しかけるが、今缶けり中であることを思い出して小さくした。
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なんとか始めの場所へ戻ることができた。そこには早々に捕まったさくらがおり、暇だったと主張された。
――さて、と正面からソレを見据え深呼吸をし、態勢を調える。そして、思いっきり力いっぱいに蹴った。
――きらり。
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